2022/08/26
初心者が苫小牧港でクロガシラカレイ釣って調理した話
アングラー憧れの北海道
海に囲まれ、魚影が濃く、他の地域にはあまり生息していない固有種も多い北海道は、アングラー(釣り人)なら誰もが憧れる聖地。
昨年2021年夏、獲れたてのうにを目当てに利尻島へ行きまして、その際に泊まったのが、たまたま利尻島で唯一の遊漁船を所有する宿『利尻島ゲストハウスいちななにーいち』。
同日泊まっていたお客さんは毎年釣りの時期に利尻に来るそうで、半日の釣果がこれ。
利尻島は北海道の中でも潮の流れがよく、アングラー(というかそもそも人)が少ない=魚がスレていないので、素人でも釣れすぎて、自分才能あるんちゃう?と勘違いしてしまうほどゴン釣れなのだそう。
その日オーナーが釣ったホッケをちゃんちゃん焼きにしてもらった夕食BBQ。
ホッケは鮮度が落ちやすく、北海道以外だとたいてい干物になっているので、実際に生のホッケを見たのは初めてでした。そしてお目当てだった利尻ブランドのうによりホッケの方が美味しかった、というまさかのオチ。
以来、北海道でホッケを釣ってみたいと思っていましたが、今回は残念ながら7月8月の”夏枯れ”と呼ばれる釣り不毛シーズン。秋〜春にかけては道内のたいていのショア(岸)からホッケが釣れますが、水温が上がると多くの魚が沖へ行ってしまうため、夏枯れの時期にショアから釣れる魚は限られるそうです。
ちなみに、今北海道のどこで何が釣れているか、もしくは昨年同月に何が釣れていたかなどは、北海道の釣果・釣り場情報、北海道の釣り新着ブログ、釣具専門店フィッシュランドの釣果ブログ、あたりの情報がリアルタイムでおすすめです。
観光客でも北海道で手ぶらで釣りができるツアー
今回は別件で札幌へ行くついでに釣りもすることにしたため、夏枯れでも日程の変更はできず。
ほかの要望としては、
・札幌から日帰りで行ける場所
・船は朝早い&時間と体力使うので今回は気軽な堤防釣り
・まだ自前のタックル(釣り道具)がないのでレンタル
・買うならどんなタックルがおすすめかも相談したい
・プロに釣りの基本知識を手取り足取り教えてほしい
・ペーパードライバーなので釣り場まで送迎つき
・マイペースな人見知りなので貸し切り
・せっかくなので北海道特有の魚を釣りたい
・虫が苦手なのでイソメは触りたくない
・釣れたら食べたいのでその場で血抜きしたい
・でもビビリなので血抜き作業はやってほしい
・おすすめの調理法やさばき方を教えてほしい
釣りやめたら?という声が聞こえてきそうです。
「北海道 釣り 体験」で検索するとツアーサイトがたくさん出てきました。
【じゃらん】北海道×釣り(釣り堀・渓流釣り・海釣り・釣り船等)
北海道釣りツアーとサイクリングツアー
思ったよりツアー数が多くて悩みますが、集団行動不適合者なので、多少値は張っても(もういい大人だし)、スタッフの人柄がよく、色々と要望(わがまま)に応えてくれそうなツアーがいいなあ。
よさそうなツアー発見。
★札幌市内や小樽市内中心部から送迎有り★ 漁港や磯で北海道の旬を釣る!!札幌近郊本格海釣り1日プライベートプレミアムツアー
ツアーといってもプライベートツアーなので貸し切り。
こちらのツアーは最近1人参加もokになったそうで、友達のいない初心者アングラーには嬉しい限りです。
1人参加は20,000円、2人以上だと1人当たり12,000円。ほかのツアーよりはお高めですが、送迎つき(ガソリン代込み)、手ぶらレンタル、1日貸し切り、専属インストラクターみたいな感じで色々教えてくれる、と考えたらむしろかなりお得。
(出典:フロンティアフィッシングツアーズ公式サイト)
プライベートツアー以外にも、現地集合の半日プランや、冬にはその場で天ぷらができる氷上ワカサギ釣りツアーもあるようです。
どんなお客さんが参加されるのか伺ったところ、地元で釣りを始めたい方、観光で来たカップルやファミリー、出張ついでにという方、など多岐にわたるそう。
今回は、まずプライベートプレミアムツアーに申し込み、こちらの要望(わがまま)をお伝えしつつ詳細を決めていきました。初心者のしょーもない質問にも丁寧に答えてくれるので、まずは問合せてみることをおすすめします。
(出典:サイクリングフロンティア公式サイト)
ちなみに、母体となるのはサイクリングフロンティアという会社で、札幌近郊を中心にロードバイクやMTBでベテランガイドと一緒に北海道の大地をサイクリングできるツアーを主催しているそうです。
(出典:サイクリングフロンティア公式サイト)
HPの写真を見るとガチ勢ばかりですが、ママチャリしか勝たんという初心者も全然ウェルカムだそうなので、北海道でのアウトドア体験や定番以外の観光を探している方におすすめ。
札幌から苫小牧へ移動
朝7時、ホテル入口に横付けでお迎え。
ガイドしてくれたのは、北海道出身で釣り歴30年以上という石川さん。
札幌から苫小牧までは車で約1時間半の道のりです。
釣り中のランチは各自適当にということでお願いし、途中コンビニに寄って、飲み物などを買います。
ちなみに私は、基本1日1食生活で(1食に全力投球したい&食べると眠くなる)、当日夜は札幌市内のミシュラン店を予約していたこと、何より釣りに全集中したかったので、ランチや休憩の有無など細かいスケジュールも好きにアレンジできるプライベートツアーは正解でした。
コンビニはトイレ休憩も兼ねているので、なるべく行っておきましょう。
今回の釣りスポットには公共トイレがありましたが、紙がなく(ティッシュ持参)、和式で(膝がグニャグニャの人は要注意)、水洗式のボットン(携帯落としそう)、虫やや少なめな感じ。私はギリ使えましたが、むりぃな人は近くのコンビニまで連れて行ってくれるそうです。
狙うはクロガシラカレイ
9時前に到着。
本日の舞台は苫小牧港のフェリーターミナル横に位置する入船公園。
周辺には通称キラキラ公園や勇払埠頭など有名な釣りスポットが集まるエリアです。
ここは大型フェリーさんふらわあ(全長199.7m、幅27.2m、総重量13,816トン)が入港するくらいの港なので、だいぶ深い。岸壁でも水深10mくらいありそうです。
道内は意外と釣りのできるスポットが限られているらしく、確かに立入禁止の看板や有刺鉄線があるところも。
かといってここは釣りOKとか明記してあるわけでもないので、個人で行くときは事前によくよく調べたほうがよさそうです。毎年禁止エリアで釣りをして捕まる人もいるらしいので。
今日は平日&潮のタイミングか、先客アングラーは3人ほど。石川さんのベストポジションは先客がいらっしゃったので、その横で準備を始めます。
狙うはクロガシラカレイ。北日本・北海道に生息し、水深は100m以下の比較的浅い海底にいます。北海道ならではの魚なので期待大。
ロッドは4本出すとのことで、それぞれ別の仕掛けにして比較してみることに。
1本目 胴突+イソメ
2本目 胴突+パワーイソメ
3本目 遊動+イソメ
4本目 遊動+パワーイソメ
ロッドはSHIMANOのSURF CHASER 425 (振出)。
触れないのでつけている様子を見学。イソメは噛みついてくるところもイヤ。
あとで知りましたが、世間には『イソメ掴み』なるものがあるらしいです、考えた人すごいわ。ビニテしてイソメ掴みを使えば1人でもいけるかもしれん。
「一番使いやすい“イソメ掴み”はどれ?実際に試してみた結果がコチラ!」
こちらはパワーイソメ。疑似餌です。これなら素手でいけます、余裕余裕。
ちなみに香りはロッテブルーベリーガムまんまです。
「パワーイソメ ブルーベリー なぜ」で検索すると、Yahoo知恵袋に同様の疑問の声が。ベストアンサー曰く、
"広告には、釣り初心者や女性向けと言ってます。初心者や女性をターゲットにフルーティーな香りにしたのでしょう”
だそうです。わりとターゲットど真ん中ですが、まったく刺さりませんね。トリュフ卵かけご飯の香りがいい。
なるべく真っ直ぐになるようにつけるのがポイント。真っ直ぐになってる?
おもりは潮の速さをみて27号をチョイス。
はじめてのキャスト
まずは石川さんのお手本。
シュルシュルシュルーーという軽快な音とともに、めっちゃ飛んでいきます。
さて、私の番。おもりがついた4m以上の投げ竿を持つこと自体初めてだったので、若干ふらつく。
初心者なので、まずロッドは剣道のように頭上に構える体勢で、左手はロッドの下の方を握り、右手の人差し指に糸をかけ、投げたい方向の遠くの目標を見据え、野球のボールを投げるように片足を振り上げることで勢いをつけて、11時の方角で指を離す、、と頭の中でシミュレーションをしてから、えいっ!
、、、とりあえず、前には飛びました。
何回か投げるうちに、そこそこまっすぐ、まあまあ遠くに投げられるように。長いロッドは投げ直すのも一苦労なので、一投一投がやや緊張します、が新鮮で楽しい。
カレイを待つ間にロックフィッシング
カレイはいわゆる”待ちの釣り”。
せっかちなので、カレイで待ちの釣りをしつつ、ロックフィッシングで攻めの釣りも同時進行します。岸壁の根魚狙い、今の時期はソイやガヤが釣れるらしいです。
ただ今回の本命ではないので、どちらかというとキャスティングの練習。目標点を決めて、そこに投げられるように、キャストキャスト。楽しい楽しい。
2時間くらいやって、キャスティングはよくなってきたものの、あたりがまったくありません。
その後もワームを替えたり、石川さんにもやってもらったりなど色々と粘りましたが、結局ロックフィッシングでの釣果はゼロでした、なんか嫌な予感。
場所移動してベストポジションへ
昼が近づき、石川さんおすすめのベスポジにいたおじさまが帰るというので、場所を譲ってもらうことに。
おじさまのソウハチガレイ。釣れた仕掛けは胴突。干物にするそうです。今日は地元の人でも渋い釣果とのこと。
午後になると、別のおじさまが声をかけてきました。石川さんのお知り合いかと思いきや、知らない人だそうです。
今日は潮がよくない、潮が読めるようになって半人前、自分で道具を作れるようになって1人前、と話しながら自作の道具を披露してくれます。のどかですな。
夏に凍えて死にかける
公園にはちょっとした高台があり、上から見ると、
この景色。
真ん中に陣取ってるのが我々。写真だけみたら最高のシチュエーションです。
ですが、実際はまさかの極寒。
え、7月でこんなに晴れてるのに?と思いますよね。そう、私もそう思ってなんならネッククーラーまで持ってきたのに、午後から予想以上に風が強まり、海風をダイレクトに浴び続けること数時間。。
どれくらい寒いかというと、餌をつける手が震え(もはや指の感覚なし)、キャストする時以外は寒すぎて立ち上がれず(椅子に座るより丸まって体温温存)、体感的には完全に冬です。
日差しはあるので、おそらく防風素材の上着でも持ってくれば凌げたのでしょうが、連日30度超えの東京でパッキングしているときは思いつきもしませんでした。
しかも潮見表によるとこの日は小潮で、昼すぎにかけて干潮になっていく潮回り、そして今は夏枯れの時期。
一般に上げ3分下げ7分といわれますが、石川さんの経験上、湾や入り江になっている場所は、満潮に向けて潮が入ってくる上げ潮の方が潮に乗って魚が入ってくるので釣れやすいとのこと。
寒さ以外の情報は事前に承知していたとはいえ、最悪のコンディションです。。
ちょいちょい誘いをかけたり、餌をつけ替えたり、1本目の仕掛け(胴突+イソメ)にイカのコマセをつけたりしてみるものの、カレイの反応はありません。たまに餌取りがいるくらい。
釣り歴30年以上の石川さんをもってしても、今日はボウズかもしれない。でももうそんなことどうでもよくなるくらい寒い寒い。
釣れました
そろそろ終了というタイミングでようやくあたりが。
ロッドが長いせいか寒さのせいか、リールを巻く感覚が重かった。
釣れたのは1本目の仕掛け(胴突+イソメ+コマセ)でした。
27cmと小型ですが、初クロガシラカレイ。ほんとに黒い、そして尊い。
普段は30cmオーバーも上がるそうですが、まあ食べきりサイズということで大満足です。
血抜きをしてから持って帰ります。
札幌のキッチン付きホテル
(出典:41PIECES公式サイト)
絶対釣るという強気の前提で、ミニキッチン付きのホテル『41PIECES』を予約していました。無駄にならずに一安心。
コンパクトですがキレイなキッチンです。一通りの調理器具から、キッチンペーパー、アルミホイル、サランラップなども揃っていました。
1Fには高級グラスやコーヒー器具、調理器具・家電がディスプレイされていて、フロントの営業時間16時〜23時までの間は無料で貸し出してくれます。返却はチェックアウト時そのまま部屋に置いておくだけでOKです。
クロガシラカレイをさばいて煮る
北海道はカレイの種類が多く、それぞれおすすめの調理法も異なるんだとか。
道内で釣れると聞いた種類だけでも、クロガシラカレイ、マコガレイ、マガレイ、イシガレイ、ヌマガレイ、スナガレイ、ソウハチガレイ、ムシガレイ、ホシガレイ、カワガレイ、、、
WEB魚図鑑によると、日本では北海道から九州の沿岸に分布し17属33種もいるらしいです。
カレイの見分け方がわかりやすい→「カレイの種類の見分け方!投げ釣りでよく釣れる5種を画像付き徹底解説。」
クロガシラカレイは石川さんおすすめの煮つけにすることに。
両面をゴシゴシしてぬめりとウロコをとったところ。
さばき方はYouTube「【カレイの煮付け】苫小牧産のクロガシラ!卵たっぷり入ってたよ」を参考に。私のは卵入ってなかったけど、便利な時代になりました。
内蔵処理したあと、かるく塩を振って水分と臭みを抜き、熱湯で霜降りしてから、持参したこだわりの調味料で味付け。
完成。
自分で釣ってまるっとさばくところからの調理は初めてでしたが、ウロコや血合いの取り残しもなく臭みゼロでいい感じの仕上がりです。
横にいた味見係もひとくち。
見た目は小型ですが、身が厚くしっかりとしていて、思ったより食べごたえがあります。とにかくカレイ自体の味が濃く、今までに食べたことのない美味しさです。
自分で釣ったというバイアスもありつつ、それにしてもうまかった。
このあとミシュランですが、完食。
北海道の釣り体験、かなーりおすすめです
ガイドの石川さんは今回初めましてでしたが、往復約3時間の車中で私が釣りの質問をしまくったり、急に黙って仕事の返信をし始めたりしても気まずくなることもなく(いや、石川さんは気まずかったかもしれない)、私のランチ休憩カットにも付き合ってくれて石川さんも適当にパンやじゃがりこ(大好物だそう)をもぐもぐしつつ、虫がイヤと言えばイソメをつけてくれ、寒いと言えば荷物で囲いを作ってくれ、血が怖いと言えば血抜きをしてくれて、控えめに言って神でした。
こう書くと、私の方がただのヤバイやつみたいですが、わがままな初心者でも楽しく釣りをさせてくれるフロンティアフィッシングツアーズ、楽しかった!おすすめです。
※この記事内容は、2022年7月時点での情報です。
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